こども達のまなざし


4月1日は、ご指導する東雲小学校PTA茶道同好会の春の卒業茶会でした。卒業されるお子さんのお母さんお二人がお点前をされ、お仲間のお母さん達や会員のお子さん達も参加します。全員が半分にわかれて、全員が一度は客、一度は亭主の役を担当しました。

一席目では、卒業されるお嬢さんが正客としてお母さんの点てたお茶をいただくことになっていました。彼女は先日、お母さんのお稽古に一度ついてきて一緒に時間を楽しみました。「お母さんのお点前を見せてもらうのは当日にとっておいて、他の部屋でのお稽古に参加したら?」と提案したのですが、じっとみていました。小さいお子さんが正客をされるときは「おしまいください」という声かけは省略して、お点前さんの方から挨拶をすることにしているのですが、もう中学生になるお嬢さんだし、直前のお稽古にこうしてこられているのだから、と「このタイミングで声をかけてね」とお願いしました。どうして声かけが必要なのか説明し、でももし忘れても問題ないからその場合はお母さんに任せましょうね、ということも話していました。

さて当日、彼女はお茶を美味しくいただいたあとは、ずっとお母さんの手元を見つめていました。じ・・・・・っと、息を殺すように自分の役割を果たすタイミングを待っていたのです。プレッシャーかけちゃったかな、と心配もしたのですが、「ここ!」というベストな瞬間で「おしまいください」と立派に声をかけられました。真剣なまなざし、役割を果たすんだという緊張感、そしてうまくいったときの安堵の表情。とても清らかで素敵でした。

二席目は、お点前をされるお母さんのお子さんは来られていなかったので、別の新5年生の男の子が正客をしてくれました。彼には声かけの役割は話していなかったのですが、やはり彼のまなざしは素敵でした。5年生というとそろそろ、お母さんのいくところに全部ついていくばかりでもなくなるお年頃だとは思いますが、彼は毎回お茶会にきてくれます。そしてお茶が好きなんだそうです。お点前の(よその)お母さんの手元をじ・・・・・っと見ていました。何かのタイミングで、連客のこども達がどっと笑いに包まれる瞬間があったのですが、そのときも彼はじっとお点前をみていました。純粋でまっすぐなまなざしでした。席がおわってから「赤い袱紗を畳んで清めて、ってやってみたい?」と尋ねたら慌てて首を振っていました(笑)。 みんなと一緒にシャカシャカは楽しみましたが。

私もこんな新鮮な気持ちで毎回のお点前やお稽古に取り組むことを忘れてはいけないな、と思いました。なんだか、静かにうれしい、そんな気持ちで過ごせたお茶会でした。




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Last Update 2020/10/20